第33章 天国と地獄
翌朝。
なんとなく予感めいたものがあって、朝のロードワークのコースを変えた。
今日は、みわっちの家の前を通るルートにする。
みわっちの家に着くと、以前教えて貰ったナンバーでポストを開け、中を確認した。
あった。
この間の写真やコンドームが入っていた封筒と同じ物が。
その封筒だけそっと抜き、ポストを閉めてランニングに戻る。
近所の公園で、開いてみた。
便箋には、日付とこの辺りで一番大きい森林公園の名前が書いてあった。
来い、と言うことか。
日付は3日後、時間は夜。
オレが今これを見なかったらどうしていたのだろう。
いや、そんなのどうにでもなるか。
考えても仕方がない事だ。
後は、これがどちらに宛てた物か。
みわっちか、それともオレか。
……これは、オレに宛てた物だ。
書いてあるわけではないが、何故か確信があった。
……3日後。
「え、明日お仕事?」
「うん、そーなんス。夜、練習終わったらチラッと行ってくるっスわ」
前日夜、出来る限りさりげなく、みわっちに報告をする。
「そっか、大変だね……。あんまり、無理しないようにね」
ベッドの中で優しく微笑むみわっち。
……オレには、しておきたいことがあった。
「みわっち、もう眠い?」
「……ん、それほどでもないけど……どうしたの……?」
「みわっちが……気持ち良くなってるトコ見たいんスけど」
頭の中では、あの動画のみわっちがずっと泣いている。
なんの罪滅ぼしにもならないが、今のみわっちを焼き付けておきたかった。
「……え?」
「オレ、入れなくていいんス。みわっちの事気持ち良くさせて。お願い。ダメっスか?」
セックスがしたいんじゃない。
みわっちが今、ちゃんとオレを感じられて幸せだっていうのを見たいだけだ。
「な、何それ、ちょっと良くわかんないよ、何で私だけ……ンッ……」
「みわっち……」
指を絡め取り、唇を重ねた。
すぐに興奮で熱く、濡れてくる。
「ちょ、ちょっ、黄瀬く」
「みわっち、好き……だめ?」
「……あっ……」
彼女の身体から力が抜けた。
……みわっち。