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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第33章 天国と地獄


その様子を、みわっちが心配そうな顔で見守っている。

「みわっち、もう大丈夫。ありがとね」

「無理、しないでね……リビングに出てたノートパソコン、電源落としておこうか?」

しまった、電源は入れたままだった。

「あーごめん、オレがやるからいいっスよ。先に部屋、戻ってて」

ノートパソコンは、ただのハードなのに。
あの映像を映し出していた物を、触らせたくなかった。

思わず、ぶん投げて壊しそうになる。
この気持ちの行き場が見つからない。

寝室に戻ると、みわっちはベッドの上に座っていて、何かを考えているようだった。

オレもベッドに入ると、微笑んでくれる。
苦しそうに泣いていた顔と重なる。

「……風邪、かな? 熱は高い……?」

「いや、もうヘイキ。食べ過ぎたっスかね」

「……そう……?」

みわっちはオレに関して勘が鋭いので、迂闊なことは口に出来ない。

「黄瀬くん……こんな時にごめんね。しばらくここで、住まわせて貰えないかな……」

遠慮がちに俯いて、そう言った。

「……ん? 既にそのつもりっスけど?」

「……あの……そうじゃなくてね、今の家を解約しようと思ってて……次の家が見つかるまででいいんだけど……」

みわっちが、家を出ようとしてる。
オレの目の届かないところへ。

「オレと一緒に住むの疲れる? 気ィ遣う?」

思わず詰め寄ってしまう。

「ううん、そういうのじゃなくて……いい加減、長々とお世話になるわけにはいかないなって」

「じゃあ……みわっちも、生活費いくらか出してよ。家賃は元々オレ殆ど払ってないからいらないし。そうしたら、居候気分じゃなくなるっスよね?」

みわっちが考え込む。
やっぱり、人との共同生活は疲れるだろうか。

オレだってそうだ。多分、彼女とじゃなかったら、こんな提案すらしない。

「すぐにじゃなくていいっスから、ちょっと考えてみて。オレも、家事半分になるのは凄く助かるし」

「そっか、うん、分かった。考えてみる」

一見、普通の女の子だ。
あんな絶望的な目に遭ってきた子とは思えない。

柔らかく笑う。オレの腕の中では可愛く鳴く。

みわっち、オレはアンタをずっと、守ってあげたい。




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