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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第33章 天国と地獄


みわっちの顔がアップで映し出された最後の動画が、一番心を抉った。

彼女の口に、ヤツの汚いペニスが差し込まれる。

無理矢理奥まで突かれ、耐えられずに口を離すと、また殴られる。

頬を腫らし、口の端から血を流しながらも止まることはなく、ひたすらイラマチオを強引にされる姿。

苦しそうなその表情が網膜に焼き付いて、残像として残ってしまいそうだ。

何度も精液を飲めと強要されるが、その度に吐いてしまう。
臭い、汚いと執拗に殴られた。

最後には、鼻血を流しながら口に射精された。
彼女は、最後までヤツの精液を飲み込む事は出来なかった。

ひたすらに、吐いていた。

動画はそこで終わっていた。





すかさずパソコンからディスクを取り出し、乱暴に紙袋に投げ入れる。

オレはひどい悪心に襲われていた。

今まで体調が相当悪い時にしか嘔吐した事はないが、とにかく気分が悪い。

みわっちがストーカー被害に遭った時の気持ちが手に取るように分かる。

受け止めきれていない。
全て受け止めてしまったら、狂いそうだ。

胸を押さえながらトイレに向かい、ドアも閉めず便器に向かったが、胃がムカムカするだけで一向に吐けない。

気分が悪い。吐いてしまいたい。苦しい。

強引に、喉の奥に手を突っ込んだ。

「ゔっ……」

盛大にえずき、吐いた。
食べたものは殆ど消化されていた。

「げえっ……」

みわっちの苦しみはこんなもんじゃない。

あんな、あんな事が。
苦しい。

全身がガタガタと震えだした。
これは、恐怖か。怒りか。

寒気すら感じていた背中に、ふと柔らかくて温かいものを感じた。

「……苦しい?」

みわっ、ち。

「ご、ごめん、起こしちゃったっスか」

「ううん、ちょっと目が覚めただけ。お水、持ってくるね」

キッチンに向かうみわっち。
大丈夫。ディスクはちゃんと抜いた。

「はい、お水。身体、冷えちゃったのかな……お薬持ってこようか?」

優しい声色。
泣き叫んでいた声と重なる。

「……ううん、大丈夫。もう楽になったっス」

「ほんとう? コップ、片付けてくるよ」

コップはみわっちに託し、オレは洗面所に向かって洗口液で口をすすぎ歯を磨いた。

吐いて、行き場のない悪心は少し和らいだ。



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