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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第5章 ふたりきり


私、黄瀬くんを怒らせちゃったみたい……。

さっき、手を引っ叩いてしまったし……きっと、私の言動でイラつかせてしまったんだろう。

それとも、昔の話を聞いて、重い、ウザいって思わせちゃったかな。

黄瀬くん、風邪でツライ時なのに……。

悲しい。どうしよう。
私のバカ。
涙が出てきた……寝付けない。

後悔ばかりで押し潰されそう。
自業自得だ……。

そうして眠れないまま、何時間経ったかもうわからなくなった頃……黄瀬くんのうなされている声が聞こえてきた。

「……う、ぅ……」

苦しそう。
熱が上がったのかな。

どうしよう、また余計な事って思われちゃうかな……。
でも、でも……放っておけないよ……。

そっと布団を抜け、借りておいた小さな洗面器に水を張ってくる。
黄瀬くんのおでこに触れると、やはりまだ熱は高かった。

タオルを水に浸して絞り、顔から首元の汗を拭う。

服が汗でびしょびしょになってしまっている。
着替えさせたいのだけれど……でも……ううん、でもじゃなくて……

……躊躇っていても仕方ない。

「う……う、う……」

「黄瀬くん、ごめんね。ちょっと、お着替えしよう」

ゆっくりと目が開く。
また、怒られてしまうかとドキドキする……。

「みわっち? ……はぁ……あったま……いてー……」

くしゃりと頭を抱え、眉間に深いシワを寄せた。
これだけ熱があれば当然だ。
良かった。ちゃんと話せそう。

「熱が上がってるから……少しだけ、起き上がれる?」

お水の入ったコップを渡して、黄瀬くんのシャツに手をかける。
少し、指先が震える。

「……大丈夫……自分でできる、っス……」

彼はそう言うけれど、ふらふらしてとてもそれどころではない。

「ごめんね、嫌かもしれないけど手伝うよ」

黄瀬くんのシャツを脱がし、乾いたタオルで身体の汗を拭いてから新しいシャツを被せた。

部屋が明るくなかったからか、余計な事を考えずにできてよかった。

「ごめんね、起こしちゃって。苦しい? お水もう少し飲む?」

「……へいき……っス」

弱々しい声だった。

「そう……眠れそう……?」

小さく、力なく頷く黄瀬くん。
萎れてしまった花のよう。

絞ったタオルを額に当てて、早く治りますように、と祈った。




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