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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第5章 ふたりきり


「そんなんじゃ、黒子っちだって誤解するっスよ。ちょっと気をつけたらどうスか? そんな無防備でいない方がいいと思うっスけど」

……我ながら、嫌な言い方だ。

「え……どうして黒子くんが出てくるの?」

「……仲良さそうにしてたじゃないスか。連絡先聞けて、嬉しかったんでしょ?」

彼女のごもっともな疑問に、勝手に早口になっていく。
オレらしくない。ホントに、オレらしくない。

「私……今まで友達いなかったから……でも、黒子くんだけじゃないよ。黄瀬くんのだって教えて貰えて、嬉しかったんだけど……」

「オレに気ィ遣わなくていいっスよ。結構強引に誘ったりしてたから、断りづらかったんスよね。別に、嫌なら嫌って言ってくれていいっスから」

あー……オレなんでこんな言い方してるんだろ……何イラついてんだろ……。

みわっちが、黒子っちにはすんなり慣れたり、楽しそうに話してたから。
黒子っちも彼女に惹かれてるとか言って……なんだかそういうのが積もり積もって今、八つ当たりしてる。

よりにもよって、みわっちに。

黒子っちも、みわっちも悪くないのに。

優しくしてあげたいのに。
そう思えば思うほど、口から出る言葉は冷たくなっていく。

彼女が、下唇を噛んで涙を我慢している姿を見て、心が痛む。

でも、止められない。
今、彼女の頭の中はオレの言葉でいっぱいだ。

もっと、いっぱいになればいい。
もっと。

歪んだ独占欲を満たすために、オレは攻撃していた。

「……もうオレ、寝るっスから。明日からまた部活復帰しなきゃだし。みわっち、ベッド使っていいっスよ」

みわっちは、下を向いたまま言葉なく大きく首を横に振った。

きらり、目に溜まっていた水滴が宙を舞った。
ズキンと痛む胸。

「……そっスか。じゃあ申し訳ないけど、布団で寝て貰えるかな。おやすみ」

すかさず間接照明に切り替え、ベッドに潜る。

みわっちが布団を掛ける音がする。
オレに気づかれないように、少しだけ鼻をすする音がした。

オレ、ほんとガキだ。
みわっち、ごめん。

イライラして寝付けないかと思ったが、病院で貰った強い薬を飲んだせいか、すぐに泥のような眠気に吸い込まれていった。

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