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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第32章 映像


「……モシモシ?」

『あ、ごめんね黄瀬くん、寝てた?』

モデル事務所の担当サンだ。
面倒臭いな……無視すれば良かった。

「だいじょぶっス」

『暫く仕事は入れないって聞いてるから仕事の話じゃないんだけど、事務所にファンレターとかプレゼントとか届いててさ』

「あー……じゃあ、取りに行かないとっスか」

益々面倒臭い。それに、いちいちこんなこと、電話してきたっけ?

『うん、そうなんだけどね、……ちょっとその中で、気になるのがあって……』

担当サンの声が低くなる。
その不穏な空気に、思わずベッドを出る。

心配そうにこちらを見るみわっちの頭を撫で、部屋を出た。

「……なんスか?」

『なんかね……手紙と、ラベルがないDVDが入ってるのがあるのよ……』

DVD。普段あまり貰うような物ではない。

『一応事務の子が軽く中身を確認したみたいなんだけど、裏ビデオ? みたいなのよね。
ひたすら中学生くらいの女の子を……その、レイプしてるみたいな……。でも、キレイな画面ではないし、なんか犯罪っぽいニオイがするから、どうしようって話になってね』

……なんだって。

「……手紙には、なんて書いてあるんスか」

『ああ、手紙は普通。
"黄瀬涼太様
いつも応援しています。これからもどうぞお幸せに。"
……お幸せに、ってのも変な言葉だわね』

背筋が寒くなるのを感じた。
まさか。

「あ、ああ、それクラスのヤツっスわ。なんか秘蔵のヤツ事務所に送るとか冗談言ってて、ヤメろって言ったんスけどね」

『あら、そうだったの。なら良かった』

「明日夜、事務所に寄るっスよ。クラスのヤツにも言っときます。迷惑かけて、スンマセン。それじゃ」

……中学生?
レイプ?

今、自分のベッドにいる大事なヒトの顔が思い浮かぶ。

……いや、まさかそんな。
確認すれば済む事だ。
そんなワケない。

部屋に戻ると、みわっちが顔を覗き込んでくる。

「……黄瀬くん、顔色悪いけど、なんか良くない話だったの……?」

「いや、なんか事務所行かなきゃいけなくなって。明日夜、行ってくるっス」

「そっか、大変だね……」

「みわっち、もう寝よ」

そんなワケがない。
不安を振り切るように、みわっちを強く抱きしめて眠りについた。


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