第32章 映像
「黄瀬くんは」
布団から目だけ出したみわっちが遠慮がちに話しかけてきた。
なにそれ。可愛すぎなんスけど。
「黄瀬くんは……きもち、良かった?」
みわっちは、いつもオレの事ばっかり。
もっともっと自分勝手になっていいのに。
「見てたら分かったっスよね? みわっちの中、めちゃくちゃあったかくて、気持ちいいの」
ナカの感覚、入れただけで頭がぶっ飛びそうになった。
以前やった素股とは、全然違う。
うねって、絡みついて吸い付いてくる。
熱くて、柔らかくて。
全部が収まると、ナカのヒダがピクピクしてオレ自身を包み込んで、休まず刺激してくる。
まるで、みわっちに食べられてるみたいだった。
オレ、ソーローじゃないはずなのにあんなに早くイッちゃって……何がリードだよ、余裕ゼロでカッコわりぃ……。
「……よかった。私ひとりで、気持ちよくなっちゃってたから」
申し訳なさそうにしているみわっちの布団をひっぺがした。
「あっ!」
「……オレたち、一緒に気持ちよくなってたっスよね?」
目の前の裸体は目の毒だ。
今すぐにでもまた抱きたくなる。
「……う、うん……」
「じゃあ、そんな事言わないの。ほら、身体辛いでしょ。大丈夫?」
髪を優しく撫でると、目がとろんとし始めた。
「だいじょぶ……」
そう言うと、わずかの時間で夢の中に落ちてしまったようだ。
また、無理させてしまった。
ごめんね。ありがとう、みわっち。
そっとベッドを抜ける。
夏場には汗が気になるので、毛布の上に薄手の超大判タオルを引いているが、ところどころ、2人の汗や彼女の愛液で湿っていた。
替えのタオルを棚から出し、みわっちを起こさないよう、取り替える。
……したんスねえ。遂に。
全く予想もしてなかったから、あの展開に驚いた。
みわっちが「抱いて」って言ってくれた時の声、録音して欲しいっスわ……。
あれだけで充分オカズになる自信がある。
卑猥な妄想ばかりしていても仕方ない。
タオルを洗濯カゴに投げ込み、新しいフェイスタオルを持ってキッチンに行く。
濡らしたタオルをジッパー付きの袋に入れて電子レンジに放り込んだ。
加熱して、蒸しタオルの出来上がりだ。