第32章 映像
みわっちのハジメテ、ロマンチックで素敵な初体験にしてあげたかったのに。
痛がらせてしまって、ゴメンね。
そこまで考えて、ふと頭をよぎった事。
オレ、女の子を大事に抱いたこと、あったっけ?
よく誤解されるが元々オレはセックス経験がそんなに豊富なワケじゃない。
以前、百戦錬磨のモデルの先輩に控え室で半ば無理矢理筆下ろしされたりとかの経験があるから、童貞ではないけれど……
大ヒンシュクを覚悟して言うと、正直、オレにとってセックスは、トイレやマスターベーションと同じ位の意味しか持っていなかった。
抱き合う。キスする。挿入する。
ピストンして射精してスッキリ。
それ以上でも、それ以下でもなかった。
勝手に女のコが動いてくれて射精できるならまあ、それはそれで。楽だし。
つまり、セックスは強く記憶に残ってない。
ぼんやりとした記憶だけだ。
そもそも経験回数が少なすぎる。
だから、みわっちが初めてだ。
こんなに、相手のことを想って抱くのは。
肌を合わせるのは初めてではないのに、優しく、優しくと意識すると、少し手が震えた。
膣の中を触ったのも、みわっちが初めて。
みわっちの中に指を入れた時には、感動すら覚えた。
ザラザラして、ヒダがいっぱいある柔らかい肉壁に、少しずつ指を沈めていく。
最初は力が入っていて、ナカが締まってて。
違和感を感じながらも快感に戸惑うみわっちの切ない声。表情。
……思い出すの、やべーっスね……。
「……黄瀬くん、ゴメンね、あの……」
「……ん?」
ピロートークどころか、すっかり妄想の世界に入ってしまっていた。
「あの……みっともないとこ、いっぱい見せちゃって……」
小さい声でそういうと、布団の中に隠れてしまった。
「みわっち、かーお見せて」
布団の隙間から覗くと、耳から首から真っ赤になっているのが見える。
「えっちなみわっち、大好きっスよ」
「……言わないで! 猛省中!」
あんなに大胆に喘いでたのに、今はこんなに恥ずかしがるなんて、ホントみわっちは不思議なコだ。
「別に猛省する事なんか何にもないでしょ。みわっち、気持ち良くなれた?」
布団の中で、小さく頷いたのが分かった。