第31章 初めての
あっという間に組み敷かれていて、唇は黄瀬くんの唇で塞がれる。
「みわっち、勝手な事言わないでよ。オレが、アンタからどれだけのものを貰えてるのか、知らないだろ。
オレが、アンタの事どんくらい好きか知らないだろ……!」
「……っ!?」
強く私の身体を押さえつける力とは対極の、優しく甘美なキスだ。
溶ける。黄瀬くんの熱い言葉が耳を溶かす。
甘いキスが唇を溶かす。
「……ぁ……」
「……ッ、みわっちの笑顔が見たくて、好きで、好きで、わけわかんねーくらい好きで……っ」
これは、夢?
「オレだけのみわっちでいてよ。みわっちだけ居ればいいんス。ずっと、そばに居てよ……!」
これは、夢だ。
「みわっち……好き……どうしたら、オレのものになってくれるんスか。嫌いになんかなるわけない。面倒なんて思わない。
好き……安心するまで何度も言うっスよ、オレは、アンタが好きなんスよ。もう好きなんてものじゃ収まんない、この気持ちを表す言葉がない」
私の目から溢れる涙が、止まらない。
「こ、こんなの、夢に決まってる……」
「夢じゃないっスよ……。どうしたら、信じてくれる?」
「……だっ、だって……私、トラブルばっかり引き寄せてくるし……っ……」
「ホント、心配で目が離せないっスわ」
「えっちなこと、我慢させてばっかだし……」
「言ったでしょ。みわっちがいいと思える時まで、待つって」
「わたし、わたし……っ」
「オレの気持ちだけには、不安にならないでみわっち……」
「……っ、うああああんっ……!」
子どもみたいに胸の中で大泣きして。
また、黄瀬くんを困らせた。
好きだ。
大好き。
黄瀬くんが言ってくれたのと全く同じ。
この気持ちを表現できる言葉が見つからない。
好き?
大好き?
どれだけ言っても、足りない。
この人の、全てが、欲しい。
……結局その後目が覚めてしまい、2人でベッドから下り、黄瀬くんは朝のロードワークに向かった。
私も行きたかったけど、この状況もあり、不用意に外に出るのは避けて、家で朝ごはんを作って待っている事にした。