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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第30章 疑心と安心と


「みわっち、なんか飲もっか」

注いでもらったスポーツドリンクを飲むと、身体の隅々まで浸透していく感じがすごく気持ちいい。

お風呂で身体が暖まると、眠気がやってきた。

「私、眠いかも……歯磨いて寝るね」

「うん、おやすみっス」

洗面所で歯を磨き、部屋に戻る。

普段なら、これだけ疲れてたら布団に入った途端、苦労せずに眠りにつけるのに、部屋に戻ってくるなり、恐怖が押し寄せ眠気が吹っ飛んでしまった。

怖い。

電気をつけたままなら、まだマシかな。

……やっぱり、怖い。
1人になった途端、心細くなってしまう。

誰かに見られている気がして、眠るどころではない。

布団に入るのを諦めて、電気を消し向かい側の部屋に向かった。

こん、こんと控えめにノックをする。
これに気付かないほど寝入っていたら諦めるつもりだった。

「みわっち?」

かちゃりとドアが開く。
室内の明かりは間接照明のみになっている。
寝ていたのだろうか。

「ごめんね、もう寝てた?」

「ううん、まだ起きてたっスよ」

「あの……」

図々しいかな。折角広い部屋まで使わせて貰っているのに。

「みわっち、こっちで寝る?」

黄瀬くんはお見通しといった風に優しく微笑み、部屋へ通してくれた。

一度寝かせて貰ったことがあるけど、本当に大きいベッド。

「……ごめんね、お邪魔します」

「オレは大歓迎っスよ」

ベッドに滑り込み、掛け布団をかけて貰う。

黄瀬くんもベッドに入ってくると、あきの時とは違って緊張してしまい、これはこれで眠れそうにない。

「みわっち、眠れそ?」

優しく髪を梳かれる。
甘いトーンの声が、耳に心地よく響く。

「今日はちょっと、どうかな……」

正直に、そう答えた。

元々、色々無駄な事を考えてしまうタイプだけに、今回の事件のような事があると24時間365日、頭がいっぱいになってしまう。

今も、ずっと頭の中に映像として流れ続けているんだ。
記憶力がいいのはこういう時にマイナスにしかならない。

朝から犯人の事を考え続け、なのに眠る事もできず、精神的に疲弊していた。

「頭いっぱいで……少しつかれちゃったかも」

「みわっち、抱きしめてイイ?」

黄瀬くんとの距離が詰まる。
心臓が煩い。


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