第5章 ふたりきり
結局、あと少しで日が変わろうという時間まで、眠りこけてしまっていたらしい。
私の絶叫と平手打ちで(叩いたのは手の甲だけど凄い音がした……ごめんなさい)黄瀬くんの目が覚め、お母さんも驚いて駆けつけ、もう遅いから今日は泊まって行ったらどうかと驚きの展開になりつつあって。
ひたすら断ったんだけれど、あの優しい口調になんだかんだ断り切れなくて、今私は黄瀬家のお風呂に入っているのであった……。
うう、いいのかな……。
やっちまった。
危なかった。
ほんとーに、危なかったっス……
さっき、寝ぼけてみわっちを抱き締めてしまったみたいで、(確かに夢の中で暖かいものが離れようとしてて、寒いのやだなーぎゅってしたいなー、って思ったような記憶がある)ふと目が覚めたら、彼女がすげー近くにいた。
耳まで真っ赤になって、可愛いなあと思ってちょっとイタズラ心で触ってたら、すごくエロい声が聞けたもんで、そこから止まらなくなった。
段々熱を帯びていく身体。
甘い声。荒い息。
オレの指に合わせて反応する。
それがたまらなく可愛くて、ついエスカレートしてしまった。
舐め、甘噛みし、口に含みと好き放題やってどーすんスか!
言い訳すると、寝起きだったから、理性が半分くらいしか働いてなかったんだと思う。
男子高校生の性欲舐めないで欲しいっス……。
彼女の昨日の話を聞いて、恐怖の原因は根深いものと分かったから、軽率にこういうことにならないようにって、そう思っていたのに……。
みわっち、怖くなかっただろうか……。
いや、怖かったよな。
彼女が抵抗を見せたところで我に返って、咄嗟に寝たふりをしたから……みわっちは、オレが寝ぼけて触ってたと思っているみたい。
でももう恐らく大丈夫だろう。
朝までは別々の部屋で過ごすだろうし、先ほどのようなことになる機会はそうそう訪れないはずだ。
気を引き締めていかないと。
気持ちを鎮めるために深呼吸ひとつしたところで、彼女が部屋に戻ってきた。