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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第29章 事件


風呂から上がってリビングに戻ると、あきサンが1人、ソファに座っていた。

「あ、黄瀬。みわ、寝たから」

「ちゃんと眠れたっスか、良かった」

「あたしもう明日からは来ないからね。あんたに任せるよ」

「……分かってるっス。今日はごめん、突然呼んで」

「それはいいんだけど。あいつ言わないけど昔、なんかあったんでしょ。じゃなきゃ、あんな極端に男が怖くなったりしない」

「……」

みわっちはあきサンに話していなかったのか。

確かに、軽々しく話せるような内容ではない、か。

「それを聞き出そうってわけじゃないよ。みわがあそこまで立ち直れたのって多分あんたのお陰だから。これからもよろしくってだけ」

「こちらこそっスよ。女のコ同士じゃなきゃ話せない事だってあるだろうし」

オレもソファに座った。

「そうね。あんたの禁欲生活もみわからよおっく聞いてるから」

は、

「はああぁあ!? なんスかそれ!?」

「あんたにずっと我慢させてるーって相談してきたもんでさ」

……さすがにちょっと恥ずかしい。

「イメージと違ってちょっと見直したわ」

「そっスか? 買い被りすぎっスよ。基本的に欲まみれっスからね。フツーにいつでもヤりたい盛りの男子高校生っス」

「そう?」

「そうっスよ。いつでもどこでも。結構見境ないの、自覚してるし」

あきサンが立ち上がり、オレの前に立つ。

「黄瀬」

突然オレに抱きついてくる。胸が当たる。
手は太腿の辺りを触り始めた。

石けんの香りと混じって、みわっちとは違う女性の香りがする。

「……どしたんスか」

まさぐっている手が、股間に触れた。

「ほら、勃たない」

「は?」

「ヤりたい盛りの男子高校生とは思えない反応でしょ? それともインポでお悩みだった?」

「アンタ人のチンコ触っといて、ホント言いたい放題っスね……」

「黄瀬が本当にみわの事大事にしてくれるっての、分かってるから。悪かったわね、試すようなことして」

本気でオレとどうにかなろうなんて思ってないのは明らかだ。

「別に気にしてないっス。お互い、みわっちに惚れすぎっスから」

「ふふ、まあね」

生まれる謎の連帯感。



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