第83章 掌中の珠
「合コンって、どんな話をするんですか?」
私には今後も絶対ご縁がないであろう合コン。
基本的には、出逢いを求めてる男女が集まる場、ってことだよね……?
黒子くんの質問に、自分なりに考えを巡らせてみる。
初対面の男女が、顔を合わせて……。
「ご趣味は、とか……?」
「ぶ、それじゃお見合いじゃん」
「なんか、全く知らないひと達が集まるのってあんまり想像出来なくて」
即座にあきに突っ込まれてしまった。
男女が一堂に会するような場の経験がなさすぎて恥ずかしい。
ゼミの集まりでも、休日は何をしているかとか、恋人はいるかとかそんな話題ばかりな事が多かったから、合コンとかでもそういうお話が多いのかなって。
……ゼミ……。
ううん、考えるのはよそう。自分から、気分が落ちるようなことを考えないようにしなきゃ。
「まあでも、そんな堅苦しくないにしても趣味とか好きなこととかは話題になりやすいかなー」
「そっスねえ。一番無難っつーか」
「趣味なら、ボクとみわさんが合いますね。好きな本の系統も似てますし」
その発言の主、黒子くんに視線が集まった。
確かに彼の言う通り、本の好みが合うから貸し借りしたり、おすすめしあったりする事が多い。
多い、んだけど……。
「……今日は随分と攻めてくるっスね、黒子っち」
「ボクは元来こういう性格ですので」
ふ、ふたりの間にバチッと火花が散っているように見える。
涼太はともかく、黒子くんがコートの中以外でそんな雰囲気を出すのは珍しい。
「お待たせしました〜」
なんとも言えない雰囲気の中、恰幅の良い店員さんがお蕎麦を運んで来てくれた。