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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第83章 掌中の珠


気分を変えようと新しく買った薄い黄色のカーテンの隙間から差し込む光が、飴色に変わって来た。
腕時計で確認すると、時刻はもう16時を過ぎている。

「あきさん、運び込むだけでいいんですか?」

「うん、もう十分。家電繋いで貰ったし。あとはみわと片付け頑張るだけだわ。みんな、ありがとね」

「本当に何から何まで手伝って頂いて……今日はありがとうございました!」

黒子くんは"運び込むだけ"なんて言っているけれど、家電の配線やら家具の設置まで、みんなに全部やってもらってしまった。
後は本当に、自分の荷物を開けてクロゼットにしまうだけだ。もう、終わったも同然。

「黒子たち、夕飯はどうすんの? 今日は流石にまだキッチン使えるような状況じゃないし疲れたし、あたしたちは外で食べようかなって言ってたんだけど」

「皆さん良ければ一緒にどうですか?」

「俺は打ち合わせがあるからこれで失礼するよ」

マクセさんはさっと立ち上がって鞄を手に取った。
これからお仕事があるのにお手伝いをしてくださったんだ。

「マクセさん、お忙しい中本当にありがとうございました。あの、これ、気持ちばかりですが」

気持ちだけでも何かお礼をしたくて、荷物にならない物をとあきとふたりで考え、カフェで使えるプリペイド式カードを購入した。

「気を遣わないで良かったのに。……ありがたく頂くよ。じゃ、また」

「ありがとうございました!」

ひらりと手を振って、マクセさんは帰ってしまった。
時間、大丈夫かな。間に合うかな。
先に予定を聞いておくべきだった。

「黄瀬君はどうするんですか?」

「オレは今日は特にもう予定入れてないんスわ」

みんなの予定を聞いておけば……そんな風に思った矢先の黒子くんの質問に、やや面食らってしまった。

黒子くんとは感覚が似ているからか、時々こういうことがある。
話す内容とタイミングが近いっていうのかな。
ペースが同じだから、一緒に居て気持ち的に楽だなと思うことが多い。


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