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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第29章 事件


黄瀬くんがいないかと、ちらりとリビングを覗く。

テレビはついていないみたいだけど、水道の音がするからキッチンにいるのだろうか。

次に、キッチンを覗くと何かを洗っている黄瀬くんと目が合った。

「黄瀬くん、お風呂、借りるね」

「え、みわっち、1人で入るんスか?」

「……え? うん」

「そっスか、ゆっくり入ってきてね。
……なんかあったらすぐに呼んで」

黄瀬くんは少し迷ったような顔で間を空けてから、心配そうに微笑んでそう言った。

どうしたんだろう……?



浴室に入って、カギをかける。
脱ごうと服に手をかけたが、そこから進めない。

……誰かが見てる気がする……。
いや、気のせい。気のせいだ。

人が登ってこれる階じゃないし。
部屋の外には黄瀬くんもあきもいてくれてるんだし。

念のため、一度ドアを空けて浴室内と今来たばかりの廊下を確認した。

ほら、誰もいない。
大丈夫。

……深呼吸して。
だめだ……指に力が入らない。

撮られた写真が目に焼き付いている。
着替えている姿のものもあった。

今も、どこからか見ているかもしれない。
今のこの姿を見て、笑ってるかも。

急に恐怖が襲ってきて、勢い良くドアを開け、廊下へ飛び出した。

黄瀬くんとあきが驚いて顔を出す。

「ちょっとみわ、どしたの!?」

「……みわっち」

「あ、えっと……あの」

「……あきサン、2人でお風呂入ったらどうスか?」

「はぁ? あたしが? なんで一緒に……」

僅かな間。

「……ま、そうね。ほら、いくよみわ」

「え、あ、ありがとう……」

あきと2人で脱衣所に入ると、嘘のように震えが止まり、服に手をかけることができた。

「みわ、あんたそんなにスタイル良かったっけ?」

「……へ? あきの方がずっとスタイルいいと思うけど」

「あたしはガリガリっつーんだよこれは。なんかこう、身体つきエロくなってない?」

「え、ええ?」

「なんだけしからんな、黄瀬効果か。ヤッてねーとか言っといて育ったのかこの胸はー!」

「きゃーあき! どこ触って、ちょっと、もっもま、揉まないでー!」

子どもみたいに、きゃあきゃあと風呂場で騒いでしまった。

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