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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第29章 事件


「みわ、あんたストーカーなんてされてたわけ?」

「……ストーカー、なのかは断定できないんだけれど……。家から、色々なもの、とられて……それまでは全然、そんなのなかったから……」

「にしたって、なんでそのストーカー野郎はいきなりエスカレートしたんかね。今まではコソコソ愉しんでるだけだったのに」

……コソコソ愉しんでる……また、頭に浮かぶ映像。

「ゴメン、また無神経なこと言ったわ。今日、泊まってった方がいい? 一応準備してきたけど」

あき、突然だったのに。
優しい。

「あき、ありがとう。1人じゃ、心細くて……ごめんね、急に」

「1人じゃないでしょうが。黄瀬黄瀬。黄瀬と寝りゃいいのに」

「えっ、黄瀬くんと!?」

「驚くこたあないんじゃないの。別にセックスが嫌なら、添い寝して貰えばいいじゃん。流石にこんな事態じゃさ」

さっき……一瞬、躊躇ってしまった。
黄瀬くんの手を取るのを。

男性っていうだけで、ほんの一瞬だけ警戒してしまったんだ。

あんなに優しくしてくれてるのに。
それが、申し訳なさすぎて。

「まあ、黄瀬もあたしもみわの事は大事に思ってるからね。なんでも言えばいいよ」

「あき……ありがとうぅ……」

「ハイハイそれ以上泣くと腫れるよ、目。ちょっと黄瀬んトコ行ってくるから待ってて」

私は本当に幸せ者だ。
こういう時に、支えてくれる人がいる。
頼れる人がいる。

これって本当に、素晴らしい事なんだ。

ほどなくしてあきが部屋に戻ってきた。

「泊まるって言ってきたわ。なんかデカいベッドあるから2人で使っていいって言うんだけど、どうする?」

「……ううん、布団でいい。この布団だってセミダブルサイズだし、十分だよ」

……なんとなく、あのベッドを私達が使うのには気が引けた。

勝手に神聖化してしまっているのかもしれない。
あのベッドの上で抱かれるのを、想像していたからか。

こんな時まで、何を考えてるの。

……やっぱりあんな過去がある私が、幸せになんてなろうとするからこんな事になるんだろうか……。

「じゃあみわ、先風呂入っておいで」

「……ん、ありがとう」

着替えを持って、浴室に向かった。


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