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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第83章 掌中の珠


額より少し上に、温かい何かがそっと触れる感覚。
誰かが、頭を撫でているんだろうか……?

涼太の手よりも、小さく感じる。
あきが、帰って来たのかな。

寝てしまっていたみたいだ。でも身体が鉛のように重くて、頭が重くて、目が開けられない。
こんな風になってしまうのは、慢性的に寝不足だからというのは分かっているんだけれど……。

「みわさん」

あれ……この柔らかい声音は……。

「すみません、エアコンの業者が来てしまったので」

「……あっ!」

エアコンの業者、その単語で目がぱっちり覚めた。

そうだった。すっかり忘れてた!

あきの部屋とリビングには備え付けのエアコンがあるけれど、この部屋にはなくて。
エアコン一基を前の家から持ってくることにして、取り付けを業者さんに頼んでいるんだった。

あれ、でも今の声って。
ふんわり柔らかい声音の主を確かめるべく起き上がると、やはり目に入ったのは見知った薄い水色。

「黒子くん」

「おはようございます」

脳内に色んな疑問が浮かぶけれど、それよりもまず対応しなければならない事がある。

「ごめんなさい寝ちゃってた。業者さんは外に?」

「ボクの方こそ起こしてしまってすみません。はい、今外で待ってもらっています」

「ありがとう、行くね!」

ぐーぐー寝ているところを見られてしまったってことだよね。恥ずかしい、よだれ垂らしてなかったかな……。


部屋を出てあきに挨拶を交わし、エアコン業者さんを部屋に。
作業が終わるまでは1時間半程度かかるみたいだ。

「先になんか食べる?」

あきのその提案で、昼食をとることに。



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