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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第83章 掌中の珠


「……これ、新品……では……?」

お姉さんから新居に送られて来たソファベッド……梱包の段ボールからして……新品のような、気がしているんだけれど……?

でも、もしかしたら段ボールも綺麗に保存しておくタイプかも……?
いや、そんな事をグダグダ考えてても仕方ないよね。

今日は引越し日で、午後から涼太達がお手伝いに来てくれる。
私は午前中カーテン類の取り付けをするのと、お姉さんからの荷物を受け取るのとで、一足先に新居へと来た。
あきはお昼ご飯の買い出しに行ってくれているところである。

そして、ソファベッドの巨大な箱と共に届いたのは、これまた真っ黒の大きめな四角い箱が二つ。
なんだろう?

「どちらに設置しますかー」

「えっ?」

「設置サービス込みでお支払い頂いてますよ」

「……あっ、こちらに、お願いします」

設置サービス込みって……やっぱりこれ、新品だ。
ちゃんとお支払いしなきゃ……納品書、箱の中見てみないと。

ひとりの時に男性を部屋に入れるのには抵抗があるけれど……運送業者さんにまで、そんな事言ってられない。

ドアの側に立って、作業員さん達のお仕事を見届けた。
……とは言うものの、作業は15分ほどでアッサリと終了してしまった。
ソファベッドの造りは単純で、背もたれと肘掛けを床に置いてから、座面をはめ込むタイプのようだ。

一見簡単そうに見えるけれど長さもあるし、重さもかなりありそうで、自分でやったんじゃきっとこうはいかなかっただろう。
お姉さん、作業員さん、ありがとうございます。

お出しするお茶も何もなかった……申し訳ない……。

出来上がったソファは、二人座っても十分ゆとりがありそうな大きさ。
ベッドにするとダブルになるって言ってた。
それも、シートクッションを引っ張るだけでベッドになる。その時間、僅か数秒だ。
便利と言うほかない。

家具が全然ない部屋だから、思っていたよりも圧迫感もなくて、背の低いグレーのソファはなんだかすごくおしゃれに見える。

お姉さんのお気持ちが、とっても嬉しい。


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