第83章 掌中の珠
"みわちゃん、久しぶり!"
「こんにちは、ご無沙汰してます! っていきなりテンション高すぎるかな……」
久しぶりに、涼太のお姉さんからメッセージが届いた。
書いては消して、書いては消してでなかなかお返事が返せなくて。
今のおうちに引越して来る時、お姉さんにたくさんお手伝いをして貰ったんだ……あの時も簡単なお礼しか出来なくて、なんかもう本当に申し訳ない。
"涼太に聞いたよ、引越すんだって?
みわちゃんはベッド使う?
あ、普段は布団派なんだっけ"
"はい、別に何か強いこだわりが
あるわけじゃないんですが……
お部屋も広くないし、
お布団を敷いてます"
おばあちゃんもお布団で寝るひとだったし、私もなんとなくずっとお布団生活だ。
外で泊まる時にベッドで寝ると、気持ちいいなぁとは思うんだけれど……。
そこまで考えて、何故か今まで涼太とお泊まりした事を思い出してしまい、スマートフォンを取り落とした。
年々妄想癖が酷くなっている気がする……良かった、部屋に誰も居なくて。
"ソファベッドなんだけど、どうかな?
普段はソファとして使って、
寝る時に広げればベッドになるよ"
ソファベッド、前に涼太とぶらぶらお散歩をしている時に、インテリアショップで見た事がある。
簡単な操作でソファがベッドに変わって、世間知らずの私は大層感激したものだ。
どう? っていうことは、もうお姉さんがもう使わなくなったベッドなんだろうか。
"ソファベッド、いいなって思っていました。
でも実際使うとどうなのかな?
って思うところもあって……。"
お姉さんには、なんとなく包み隠さず素直に話してしまう。
優しくてあったかくて、いつも悩みを聞いてくれるから。
それからなんだかんだとお話を聞いて貰って、お姉さんが使わなくなったベッドを譲って貰う事になったんだけれど……。