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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第82章 夢幻泡影


「もっと相談する癖をつけた方がいいぜ。勝手にグダグダ悩んだって解決しないだろ」

「はい……」

相談をすること。
涼太にも時々言われる……もっと気軽に相談してって。
私的には、十分すぎるくらい相談してるつもりなんだけどな……。

でもきっとこの先の人生で色々な岐路に立たされた時、自分だけの価値観では限界があるだろう。

もっともっと柔軟に考えられないと、だめだな……。

「んで、今日もメシ行かねーの? 最近全然来ねえじゃん」

「あっ、今日は、みんなと一緒に行こうと思ってたんです」

先日のことがあってから、親しいひと以外との外食は避けてしまっていた。
大阪のチームのみんなとは、お酒を飲むことは殆どないからきっと大丈夫。

こんな自分の我儘でコミュニケーションを図る場を失ってしまうわけにはいかない。

「今度オフの日会おうぜ」

「オフの日……ですか? バッシュ、買ったばかりでしたよね」

「いやそうじゃなくて、デートに誘ってるんだけど」

「デート」

閑田さんの白い歯が眩しい。
……のだけれど、ちょっと何を言ってるのか分からない。
デート?

「そ、デート。水族館とか映画とかどこでもいいんだけど」

「水族館……」

水族館、いいな。
いつか見た広告を思い出す。
涼太と水族館、行ってみたいな……。

「水族館、好きなの?」

「いや、好きというか……行きたいなって思って」

「いいよ。じゃあ次の休みに行こうぜ。みわ、オフいつも向こうに帰っちゃうもんな」

このひと、多分凄くモテるんだろうな、と時々思う。
会話のテンションというか、会話の持って行き方がとっても上手だ。

「あっ……あの、行きたいのは、閑田さんとじゃなくて」

「黄瀬涼太とだろ」

「はい」

「分かってっけど、キッパリ言ってくれるなよ……」

「す、すみません」

つい条件反射で答えてしまったけれど、折角お誘いしてくれているひとに失礼な事を言ってしまった。
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