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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第82章 夢幻泡影


「みわが引越した方が安心ってんなら、腹括って友達にも話して引越しすりゃいいじゃん。協力的なんだろ」

「……はい」

自分が言っている事にも、感じている事にも、何一つ嘘はない。
平穏を求めて引越ししたいのも本音、でも付き合わせたくないのも本音。

「友達に迷惑かけらんないっていうのは本心なんだろーけど、それで大事な物事決めんのは間違ってんじゃねえの。責任転嫁と一緒だよ」

「……」

責任、転嫁。
そんなつもりは無かったけれど、でも閑田さんの言うことも一理ある。

「……っと、悪い。余計なこと言ったわ」

「いえ……閑田さんの、言う通りだと思います」

あきに迷惑をかけたくないからというのは、あきを理由にしているに過ぎない。

そんなの、ずるいよね……。

「ちゃんと、考えます」

言い訳にして、ちゃんと考えるのを放棄していたかもしれない。
もっと手段があったかもしれないのに。
悩むのは全ての可能性を洗い出してからじゃないのか。

"ちゃんと"、が出来ていたか?
甘え癖がついているんだ、より意識しないと。

「思った通りに相談したか?」

「え?」

「その友達に、お前に迷惑かけたくないから悩んでるって言ったか?」

あきに……

「……言って、ないです」

「なんで」

「言ったら、気を遣わせてしまうから……」

あきは優しいし面倒見がいいから、そんな事に悩んでいると聞いたら、気を遣って引越しを進めるように言ってくれる気がする。

「いいじゃん、遣わせてやれよ」

……え?
閑田さんの発言は、私が予想したどれとも違っていて。

「お前が大事なんだろ。お前の事を大切に思ってっから、協力しようとしてくれてんだろ」

「……」

「なんで驚いてんだよ」

「え、あ、いえ……」

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