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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第82章 夢幻泡影


腕の中の細い身体が、熱を持ってくるのが分かる。
抱きしめた時とは対照的に、規則的に上下する背中。
眠れた、だろうか。

髪を撫でても、反応がない。
安らかに眠りに入れたらしいことに安堵し、ほっと息をついた。

今はいつも以上に休む必要があるはず。
現に、こんなに入眠がスムーズなのは体調が万全でない証拠。

みわはすぐに無理をするから良くない。
オレと一緒に居る時くらい、ゆっくり休んで欲しい。
それなのにいつも、気が付けばくるくると動いて働いているから心配なんだ。

少し喉が渇いたな……。
買っておいた水でも飲もうと、そっと布団を離れた。

ふと、部屋を見渡す。
みわの部屋は、自分が知っている"女の子の部屋"とはかなり様子が違う。

広めの部屋に、勉強机と本がしまってあるカラーボックスと小さなテレビ用の机が置いてあるだけだ。
他の所持品は全てクロゼットに収まってしまっているのだろう。

机の上には、沢山の本やノートが積まれている。乱雑ではない辺りが、みわらしい。

それ以外にも、分厚い本がブックエンドの間に沢山並んでる。
『人間の体とその機能』『基礎医学』『栄養学』『トレーニングの有効性』『テーピング法』『スポーツ障害や外傷・救急措置法・マッサージ理論』『一般整形疾患について』……それに、資格試験の問題集のようなもの。
オレには理解出来ない単語ばかりだ。

みわ、めちゃくちゃ勉強してんだな。
バイトと学校以外の時間は、殆どを勉強に充てていると聞く。
彼女の頭の中には、これだけの知識が入っていってんのか……。

今は夏休みだけど、普段から学校にもちゃんと行って、整骨院のバイトもして、大阪へ手伝いに行って、勉強もして……オレと会う時間、無理して作ってくれてんだろな。

みわの負担にならないようにしたいと思ってはいるのに、つい時間があると会いたくなってしまう。

いっつもいっつも、全身で受け止めてくれるみわが可愛くて愛しくて。

マジで、こんなみわを狙うヤツがいる事が腹立たしくて仕方ない。

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