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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第82章 夢幻泡影


「どんな?」

「大した話じゃないよ。ちょっと抜けてお肉食べに行かない? って誘われただけ。あとは、皆で海行かないかとか」

涼太から、怒りの雰囲気は感じ取れない。
でもなんだろう、ひとつも漏れずに受け取ろうというかそんな感じの、探偵さんみたいな空気を感じる。

「で、断ったんスか?」

「うん、ごめんなさいってしたよ。折角誘ってくれたのに断ってしまったから、気分を悪くしてしまったみたいで……」

「……」

涼太はまた、考え込むようにして黙ってしまった。
ああ、昨日に戻りたい。

「ごめんね、涼太もこんな話、気分良くないよね」

もう、このお話はやめた方がいいよね。
外でお酒を飲むのは控えよう……。
この間、涼太と楽しい時間を過ごしたのが嘘みたいだ。

「みわ、体調どう?」

「元気だよ。でもお酒が残ってるのかも……ちょっと怠くて眠気が」

やっぱり本調子じゃないせいか、どうにも思考に靄がかかったような感覚が拭いきれない。

涼太の質問もちゃんと耳に入ってくるんだけど、ちゃんと頭の中で整理されていかないっていうか……。

こんなに身体が重い事って、そうそうない。
風邪を引いたりしている時とは違った倦怠感だ。

「みわ、起きてトイレ行った?」

「おトイレ? まだだけど」

そう言えばまだ目が覚めてから一度もお手洗いに行っていない。
慌ててクロゼットに隠れた時には少し尿意を感じたものの、その後色々あったせいか、忘れてしまっていた。

「ちょっと行ってこようかな」

「待って」

「え? あ、うん、ごめんね」

まさか止められるとは思っていなくて、上げようとした腰を慌てて落とした。

「みわ、落ち着いて聞いてくれる?」

そう言った涼太の表情は、翳っていて。

「……はい」

何を言われるんだろうと構えた私の耳に入ってきた単語は、全く想像もしていないものだった。

「多分クスリ盛られたんだと思う」

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