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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第82章 夢幻泡影


何も身につけていない。
ぐっしょりと濡れた陰部。
タケさんと店から出た……

これから導き出される結論に、目を背けたくなるけれど……背けてどうにかなるものではない。

私、もしかして……タケさんと、一夜を過ごしたの?

心臓が何倍にも膨れ上がったような感覚に陥る。
どくんどくんと、身体中を巡る血液が熱を持ち始めるような感覚。

部屋のゴミ箱を覗く。
特に……使用済みの避妊具は見当たらない。
まさか、そのまま?

お腹に手を当ててみても、分かるわけがないのは重々承知の上なんだけれど……。

でも一度、涼太と……つけずにした時のような、中からどろりと流れ出てくる感覚はない。
恐る恐る触れると、先ほど拭った筈なのに陰裂はまた湿っている。

私が着ていた服は……一体どこへ?
自分を抱きしめるようにしながら、洗面所へ向かう。

小さなお洗濯カゴの中に、昨日着ていた服の一式が入っていた。
手に取って状態を確かめるけれど、特に濡れていたり、吐瀉物が付着しているような状況ではない……。

なんで、どうして覚えていないの。
涼太とお喋りをした後、どうしたっけ?
部屋に戻った筈、なのに。
なんにも記憶がない。

思い立って、玄関へと走った。
靴は、ある。きちんと脱ぎ揃えてある。
鍵も……かかってる。
誰かが鍵をかけずに出て行った形跡はなさそう。

少し……落ち着こう。
いくら夏場とはいえ、裸のままでクーラーの効いた部屋に居たら風邪を引いてしまう。

ああ、頭が痛い……そして、怠い。

部屋着を着て、布団へと寝転がった。
ぼんやりする頭のまま、眠ってしまいそうだ。
やる事もまだまだある。
呑気に寝ている暇なんてないのに……末端まで指令が行き届いていないのがよく分かる。

車酔いをした時のような不快感が、胸のあたりにある。

このまま眠ってしまおうか……そんな事を考え始めた瞬間、玄関からカチャリと解錠した時の音が聞こえた。


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