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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第82章 夢幻泡影


いい大人が漏らしてしまったのかと、焦ってそっと触れてみたけれど……ネバつきのあるそれは、尿ではなく……愛液だ。

下着を履いていなかったからだろうか。
確かに寝起きで濡れていることは時々ある。
……ううん、それにしても濡れすぎだと思う。

これ、涼太と……した時のような感じだ。
どうして?
ハテナマークが脳内で増殖する。

どうして私は服を着ていないんだろう。
ぞぞぞと、背中に虫が這うような不快感。
こんな、呑気にしている場合ではないような気がしてきた。

まだ朝早い。
昨日飲みに行った女の子に連絡するにも、もう少し待った方が良いよね……。

そんな風に時計とにらめっこしていたら、突然スマートフォンがメッセージアプリの新着を告げた。

昨日、涼太から頂いたプレゼントの事についてお喋りした彼女からだ。

“おはよう!
昨日はおつかれー。
だいぶ酔ったんだって?
タケと出て行ったけど
ちゃんと帰れた?
大丈夫って言ってたけど
ちょっと気になっちゃった”

表示された文字列が頭に入って来ない。

タケさんと、出て行った?
私が?

え、だってちゃんとお断りした……よね?
お断りして、涼太と電話したんだもん。

どうしてその後の記憶がないの?
必死で記憶の引き出しを開けても、どれも空っぽで。

……怖い。
タケさんと、どうやって出て行ったんだろう。

だいぶ酔った、って言っても、記憶がなくなるまで飲んだ事なんて一度もない。
昨日だって、途中まで全く酔っ払っていなかったし……。

“大丈夫って言ってたけど”って事は、タケさんと出て行く時、私は受け答えが出来てたっていうことだ。
それなのに何故、記憶が全くないの?

昨夜、一体何があったの?

無性に怖くなってしまって、ティッシュを複数枚箱から勢いよく引き抜き、濡れた陰部を拭ったあとに、冷蔵庫へ向かった。

冷たいはずのお水は、なぜか生ぬるく感じた。


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