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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第82章 夢幻泡影


移動した先の席では、男子達が数名で楽しくお喋りをしていた。
なんとなく相槌を打って過ごしていたのだけれど、時間の進みがとっても遅く感じる……。
時計を見ると、さっきから20分近くが経過したところ。

タケさんはまだ座布団に突っ伏したままだ。
なんとなくお酒を飲む気分ではないのだけれど、頼んだ分はきちんと飲まなきゃ。

口をつけると、グレープフルーツのような柑橘系の味と、後から追いかけてくるのはライチのような風味。
思ったよりも爽やかな喉越しで飲みやすい。
すぐ帰れるように、半分ほどを飲み干した。

「神崎さんは、彼氏いるの?」

……やっぱり皆、このテの話題が気になるんだろうか。
飲み会が始まってから、何度聞かれただろう。

他の女の子達に目をやると、男子とまるで恋人同士のように寄り添ってお話をしていることに驚く。
これが普通の距離感なんだろうか?

申し訳ないけれどその質問にはなんとなくお返事をしてやり過ごし、教授の到着を待っているんだけれど……。

それから15分ほど経っても、お姿は見えない。
なんだか……眠くなってきてしまった。

不眠気味の私が、こんな風に眠くなるのなんて滅多にない。
なんだろう……疲れが出たのかな。

あれ…………すごく、ねむい。
突然、脳からの伝達機能が停止してしまったかのように、指先の感覚が鈍くなってくる。

「神崎さん、大丈夫?」

誰かの声がするんだけれど、瞼を開けるのに必死で、お返事をするまでのよゆうが、なくて。

だめ、めをとじたら
ねむって、しまいそう……。

「……わたし、おてあらいに……」

なんとか立ち上がって、お手洗いに……顔を洗えば、すっきりするかも……

なに、この眠気。
お酒が合わなかったのかな。

ふらつく足で廊下に出たところで、誰かが肩を貸してくれた。

「神崎ちゃん、ちょっと休みに行こうか」

嬉しそうなその声は、タケさん……?

だめ、ねむくて…………

ゆっくりと瞼がおりていく。


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