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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第82章 夢幻泡影


自分で言っておいて、変な意味ってなんだろうと思う。
よく使われるけれど、意味がはっきりしない言葉って結構多い。

……どうして私は、混乱すると思考がおかしな方向へ走り出してしまうんだろうか。

「変な意味って、なんスか?」

涼太は口の端を緩めて、笑いながらそう聞いた。
今まさに、自分で突っ込んでいたことだ。

「あの……自分でもよくわからなくて……」

正直にそう言ったら、今度はこらえることなく吹き出した。

「みわはウソをつくコトを知らないんスかね」

少し呆れた?ような声を出した唇は……そのまま、私のそれと重なった。

……涼太の唇って、どうしてこんなに柔らかいんだろう。
頬を撫でる指が、ひびの入ったガラスに触れるかのような優しさで。

「まぁた押し倒しそうになったっスわ」

ぺろりと舌を出すいたずらっ子な表情も、私を抱いてくれる時の色っぽい表情も。
この気持ちを的確に表現できる言葉が見つからない。

「涼太……好き……」

「そんな可愛いコトを言うのは、どのお口っスか」

広がった距離が、また一瞬で縮まる。
会話はなくても、絡み合う唇や舌が、彼の気持ちを伝えてくれているみたいだ。

このまま身を委ねてしまいたくなった……と思ったら、唾液が変な所に入ってしまって、思いっきり咳き込んでしまった。

「大丈夫っスか、みわ」

「けほっ、ご、ごめんなさい」

「ごめんはこっちのセリフ。お茶淹れるっスわ」

大きな手は背中を撫でてくれて、ポットにお湯を注ぎ出した。

……また、流れを台無しにしちゃった……。
この緊張感のなさ、どうにかならないんだろうか。

「少し蒸らすんスね……んじゃその間に、マテ茶をベースに緑茶、シナモン、ジンジャーをブレンド……オレはこれにしよ」

うなだれる私を慰めるかのように、レモングラスの爽やかな香りが鼻腔を擽った。


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