第82章 夢幻泡影
何度も突かれて、その度に喉の奥から、掠れて潰れた声が出てしまう。
こんな声を聞いて、萎えてしまわないだろうか。
そうは思っても、声を抑える余力は全くない。
お腹の中で、子宮がぷっくり膨らんでいくような錯覚……また、いってしまいそう。
これで何度めだろう。
快感について、男という性は『火』で、女という性は『水』なんだと聞いた事がある。
例えるなら、セックスは水を張った鍋を火にかけているようなものなんだって。
水は沸騰するまでが長くて、でも一度沸騰してしまうとなかなか温度が下がらない。
そうして、女性の快感は、継続するんだって。
対して、男性は点いた火をパッと消すかのように、刹那的なんだって。
男性の感覚は残念ながら分からないけれど、女性側のそれを聞いた時に全くその通りだと、納得した。
ゆっくりと繰り返される挿入、グリグリと最奥を押されて、ただ喘ぐしか出来ない。
ぐつぐつと沸き上がるような情動に揺さぶられて、刺激を受けた涙腺が次から次へと液体を送り出す。
嬉しくて幸せで気持ち良くて。
一番近くでこんなにも好きなひとの熱を感じる事が出来て……
「……りょっうた、いっ、ちゃう」
「ん……ごめん、オレもそろそろ」
「あっ、あーー……っ……!」
「……っく、締ま」
お尻を掴んでいた手に力が込められて、体重を乗せながら突き込まれると、また身体は頂点に達した。
そしてその後すぐに、涼太も動きを止めた。
中に入っている彼が、ドクンドクンと精を吐き出している気配を感じる。
ああ、私……やっぱり変態さんになっちゃったのかも。
涼太が、私の中で気持ち良くなってくれたという事に、彼が私の中で射精をしているという事実に、こんなにも興奮してる。
中での拍動がおさまると、また後ろから優しく抱き締められる。
ただそれだけなのに、こんなにもこころを満たしていく幸福感。
好き。
好き……大好き。