第82章 夢幻泡影
「あ……あぁ……っん……っ」
怒張した屹立が最奥部に達するたびに漏れ出る嬌声。
オレに跨ったみわは、躊躇いながらも必死に腰を振ってくれてる。
みわのことだ、少しでもオレのことを気持ちよくさせてあげたいなんて思ってくれてるんだろうけど、完全に逆効果。
シックな色合いの内装に浮かび上がる華奢な裸体は、まるで絵画を見ているようだ。
……オレ、絵を描くのはあんまりなんスけど。
湯せんにかけたチョコのように蕩けた目は、みわが感じてくれている快感の度合いがよく分かる。
「涼太……っ」
「……みわ」
みわの声が、表情が、重なった唇の動きが、自身を纏う襞のうねりが。
求めている。
求められている。
腰の辺りがゾクゾクする。
「すっ……げえ、オレも気持ちいい」
快感とか満足感とか、そんな簡単な言葉では表せないほどの感情で肋骨のもっと奥が満たされていく。
グラスに張っていた水が溢れ出るかのように、彼女を愛しいと思う気持ちが止められない。
再びキスをして、腰を強く引き寄せると、じわり、下腹部に温かい感触。
噴き出した潮が、腹を濡らしたらしい。
他の誰にも見せない姿を、自分だけに。
綺麗な花を力ずくで散らしてしまう背徳感というか、中毒性のあるこの感じが、やめられない。
生まれ変わっても一緒になりたい。
いや、なんか違う。そうじゃない。
離れたくない。
みわと居る時の安心感は、他の何物にも代えがきかない。
絶対に、この手を離しちゃいけない。
一度離したらどうなるかなんて、誰にも分からない。
離さない。
何があっても、絶対に。
こんな風に考えるなんて、どうかしてる。
みわとセックスしてると、頭がぼんやりしてくる。
これがよく言う、理性が吹き飛んでいるという状態なんだろうか。