第81章 夢幻泡影
「あ……っ、は……」
熱い唇が重なる。
力が、入らない。
テーブルのような台に身体を預けたかたちになっているからか、ベッドへ横たわっている時とは全く違う感覚だ。
縋るように、涼太の首元に腕を回した。
絡み合う舌が、胎内に火をつけるみたい……ぼんやりした頭でなんとか応じようとするけれど、辿々しい動きになってしまっている自覚はある。
そのくせに、離れていく唇に名残惜しい気持ちを抱くなんて、図々しいと分かっているんだけれど……。
「みわのその気持ち良さそーな顔が好きなんスよ」
そう言った涼太の表情は満足気で、少し紅潮した頬が色気を倍増させている。
「……しよっか」
もう一度、今度は触れるだけのキスをして、そんな風に囁かれたら……もう頷くことしか出来ない。
耳朶を甘噛みされている間に、彼が準備をしている気配を感じる。
本当に、私とは対照的で器用すぎる。
でも、するって……このままベッドに移動して?
そんな風に妄想していると、涼太は私の腰に手を添えて、テーブルから下りるのを手伝ってくれようとしている。
このままベッドへ向かう事になるのかと思いきや……私のお尻はまだ半分、テーブルの縁に乗ったままで、涼太は私の前に立ったまま、移動しようとする気配はない。
「……えっ?」
涼太は、私の右脚を掴むと、彼の腰辺りまで持ち上げた。
どうするのかと思ったのも束の間、逞しい腰がゆっくりと近付いて来て……屹立が抵抗なく侵入してくる。
「んん……ん、う、あっ」
指よりもずっと大きなものを受け入れ、堪らず大きく喘ぐと、また涼太にしがみついてしまう。
声が抑えられない。
「んー……みわんナカ、好きっスわー……」
繋がっている下半身だけじゃなくて、胸の辺りがじんじんしてきて、涙が出そうだ。
「ちょっと、いいスか」
「……?」
涼太は私の右脚を彼の腰に巻き付くようにすると、お尻とテーブルの間に手を入れてきた。