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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第82章 夢幻泡影


それから、涼太とたくさんお喋りをして、たくさん飲んで、たくさん食べた。

「これ、甘みがあって飲みやすいね」

「良かった。みわは白の方が好きそうだなって思ったんスよね」

「うん、これ好きな味……」

涼太が頼んでくれたお酒はどれも私の好きな口当たりのもので、本当にこのひとには何でも知られてしまってるんだな……なんて実感したりしてしまって。

私は、涼太のことどれだけ理解出来てるのかな……。

「最近はみわのアドバイス通りにちゃんとメシ食ったりトレーニングしたりしてるから、だいぶ調子いいんスよ。今日はサボりっスけど」

「本当? 良かった……」

一応、敵校のメンバーである身としては、戦略に関わるような事は言えないけれど、涼太自身の事についてはよく話したりしている。

お節介ばかりで嫌になってしまったかと思ったけれど、色々、実践してくれてたんだ……。

「みわはオレの一番のトレーナーっスわ」

どきり、心臓が飛び跳ねた。

涼太の隣にいる時の胸のドキドキとは異種の、心臓がさざ波のように小さく泡立ってざわめく感覚。

こころの真ん中を動かす何かが揺さぶられる感じ。

黄瀬涼太の……一番の、トレーナー。

そう、ありたい。
そう、なりたい。

「……ありがとう、私頑張る」

「みわはちょっと頑張りすぎなんスよ」

「ううん……」

まだまだだ。
まだ、スタートラインにすら立てていない。

このひとを支えたい。
日に日に強くなっていくこの思い。

私は今、頑張れて居るだろうか?

それを「やる」事で満足してしまっていないか?

もっと出来る事はないか?

つい、必死で忘れてしまいそうになる。


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