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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第82章 夢幻泡影


目の前を横切る光の奔流にのまれてしまいそうだ。
視界が全部どこもかしこもキラキラしていて、ううん、キラキラというより、ぴかぴか?
白の後ろに黄色、緑、紫、赤、青……様々な色の集合体が全力で光を届けてくれているみたい。
見た事もない数の光と色が、上下左右を自由に動き回る。

恐らく小さな電球であろう光源で形取られた可愛いキャラクターのオブジェの周りには、無数のダンサーさん達。
華やかな衣装を身に纏い、まるで無重力空間の中を飛び回るように舞い踊る。
衣装にもぴかぴかが付いていたり、手に持つスティックが光っていたりと、後ろの大きなキャラクター達に負けない存在感。
音楽は、パーク内で流れていたものから、誰もがどこかで聴いた事のあるような有名な曲まで。
もしかしてこの曲は、ネズミーランドから生まれたものだったんだろうか。

すごい、すごい。
さっきからすごいしか言ってない気がする。
綺麗、可愛い、どれも取ってつけたような言葉だ。

こんな風に、大好きなひととパレードを見れるなんて思ってもみなかった。
キラキラ美しい世界はいつも大きな壁を隔てた向こう側にあって、それが当たり前だったのに……まさか、それがすぐ目の前に来るなんて。

涼太と一緒にいると、涙腺がおかしくなっちゃうんだろうか。

驚きと、喜びと、幸せと……様々な感情が去来して、胸の中を掻き回していく。
その残滓が行き場所をなくし、目から溢れてしまっているようだ。

涼太に背後から抱きしめられて、ずっとずっと、パレードを眺めていた。
時折耳元で聞こえる小さな歌声に合わせて、一緒に歌って。
手を握って。

このひとと過ごす時間が、このひとがいる人生が、幸せだ。

私、こんなにも幸せだ。



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