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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第28章 デート


「……足、立っていられない?」

「……ぁ……ッ」

全てお見通しとでもいうようにそう言われて耳朶を舐められると、我慢できず声が漏れてしまった。

足元から何かが突き上がってくる感覚と頭からじんわりと降りていく感覚で、頭がポーッとしてくる。

「今日、可愛くてビックリしたっスよ。オシャレ、してくれたんスね」

大きな手が頬を撫でる。

「……でも……すごい中途半端になっちゃって……ぜ、全然まだまだ……ッ」

指先が頬から首筋に走る。
反応しないように意識しているのに、身体がびくびくと応えてしまう。

「可愛い」

黄瀬くんが、顔を見ようと覗き込んでくる。
見られないように反対側に顔を逸らす。

「ぷっ……逃げないでみわっち」

右、左と交互に逃げていたけど、遂に頬を手で捕まえられてしまう。

「やっと見れた。朝からあんな可愛い姿見せられて、我慢するの大変だったんスよ?」

透き通ったキレイな目に見つめられる。
ずっと、ずっと寂しかったのに。

「……だって……黄瀬くん、手も……繋がない、し……」

ああ、言っちゃった。

「ゴメンね。寂しかった?」

「……」

「なんか今日、元気なかったっスよね。何かあった?」

「ああ……うん……ちょっと、気持ち悪い事があったかな」

「どうしたんスか?」

言って、いいかな。
勘違い……じゃないよね?

「外に下着を干すとね、なくなっちゃうの……」

「はぁ!? ドロボー!? ちょ、警察に言った方がいいんじゃないスか!」

「ううん、いいの。もう外には干さないし……。それでちょっと、気分が落ち込んでただけ」

後は……まあ、わざわざ言うことじゃない、かな。

「そっか……早く聞いてあげれば良かった。ごめん」

黄瀬くんの指が、前髪に触れる。
反射的に目を閉じると、その瞬間そっと唇が触れた。

「なんかあったらすぐ言ってよ。心配っスから」

「うん……んむっ!」

唇が離れたと思ったのに、また重なる。
離れては重なるのを幾度か繰り返す。

「あー……ダメだ……やっぱとまんねー」

「ちょっ……こ、こんなとこでっ……」

「誰も見てねっスよ……」

辺りは暗くなっているけど、無人ではない。
黄瀬くんの背が高いから、きっと外から見える事はないと思いつつも、見られてたらどうしようとハラハラする。


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