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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第82章 夢幻泡影


「はぁ……っ」

快感を後引く身体をなんとか落ち着かせようと息を整えても、やっぱりうまくいかなくて。
服の上からだったのに、呆気なくいっちゃうなんて、恥ずかしい……。

すぐに、言葉もないまま抱き締められた。
あったかくて、いい匂いがする。大好きな涼太の香りだ。
すごく、幸せな気持ちになる……。

涼太……時々、とっても不安定な時がある。
今も、そうだった。

嫌な感じがするとかじゃ、決してないんだけれど……とっても気持ちが揺れているような、そんな感じ。
何か、不安な事があるのかな。
私はそれを、ちゃんと分かってあげられているのかな。

全部、共有出来たらいいのに。
気持ちいい事も、嫌な事も、全部……。

「……涼太、私だけはいやだよ。涼太も……」

「オレはいいの。運転すんのに腰にチカラ入んなくなったらツラいっスわ」

「え……そう、なの?」

「うん、だから試合前には基本的に禁欲。若い頃はあんまカンケーなかったっスけど」

「そうなんだ……」

全然知らなかった。
男性って、というか涼太って、そうなんだ。
若い頃って、まだ十分に若い気もするんだけれど……。

「その代わり、夜は思いっきりやらせて貰うから、覚悟しといてね」

「ええっ!」

はは、と笑いながら、涼太はさらっとそう言って、私の頭を優しく撫でた。

夜……夜、そうだよね。
心臓がまたおかしな騒ぎ方をし始めた。
この妄想癖、なんとかしないと。

「あの……」

「ん? そろそろ行こっか?」

「あ、うん、お願い……します」

全部、一緒が……いいな。

私が着衣の乱れを直したのを横目で確認して、飲み物を手渡してくれた。
渇いた口内に、水分が浸み込んでいく。

「……涼太」

「ん、どしたんスか?」

涼太も、ペットボトルの水をひとくち口に含んでから、ウインカーを出した。

「あの……夜、は、私もいっぱい、させて貰うから……ね」

「ぶっ」

「えっ、だっ、大丈夫!?」

突然霧吹きみたいに吹いた涼太に、大慌て。
涼太はタオルで口元を拭ってから、少し強めにアクセルを踏んだ。


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