第82章 夢幻泡影
「な、なんか規模がすごい」
洗濯機を回している間に、スマートフォンでネズミーランドを検索してみたら……想像していたのと全く違っていた。
なんか、イベントとかアトラクションとか、なんかもう物凄い数だ。
待ち時間も、分表示になっているけれど、300……つまりは何時間も並ぶってことだ。
軽い気持ちで行きたいと言ってしまったけれど、これはそれなりに対策していかないと駄目かも……。
この暑い中、涼太が熱中症にでもなったら一大事だ。
……何着て行こう。
足元は……スニーカー? じゃ色気がないかな……白いスリッポン、汚れてきちゃったから洗っておこう。
ひとがいっぱい集まるところなら、ヒールはやめた方がいいよね。
ワンピース……とかじゃない方がいいかな。
パンツルックかな。
着るもの、着るもの何があったっけ。
Tシャツ……無地のばっかりだ。
……あとで改めて手持ちの服を確認してから、計画を立てよう。
アトラクションとかも……ちゃんと調べておかなきゃ、かな。
『ばっかじゃないの! そんなん黄瀬に任せときゃいいんだよ』
「えっ、えっ、そんなんって?」
遅めのお昼ご飯を食べて、何気なくスマートフォンをチェックしたら、あきからメッセージが入っていて。
内容は他愛のないものだったから、雑談をしているうちにネズミーランドの話に。
事前に調べなきゃならない事とか、準備しなきゃいけない事とかを確認したいと言ったら、この発言だ。
『熱中症対策だけして、可愛い服着たら後は任せちゃえばいいじゃん。あいつそういうの好きだもん。えへへってついて行けばいいんだよ』
「えへへって」
『そう、甘えればいいんだって』
「甘えれば……」
いつも甘えてばかりなのに、デートまでおんぶに抱っこでいいのかな……。