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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第81章 正真


電話での沈黙、って色んな事を想像してしまう。
それも、普段滅多にない、涼太の。
嫌悪? 驚愕? 今、どんな顔をしてるの?
聞き方が悪かったかと後悔の念が過ぎったけれど、でも遠回しに探るような事はしたくなくて。

『会ったっスよ』

私も言葉を発せぬままでいると、少しの沈黙の後、あっさりと涼太は言った。
やっぱり、そうだったんだ。

『つか、会いに行ったんスけど』

彼がそう続けたのを聞いて、その事を疑問にすら思っていなかった自分に気がついた。
そうだよね、偶然ばったり会った、なんて出来過ぎてるもの。
当然、会いに行ったってことになるんだろうけれど……

「そう、だったんだ……どうやって? あの、連絡先とか」

『マクセサンに聞いて』

「え……」

マクセ、さん?

マクセさんは、涼太が閑田さんに会った事を知っていた?
でも今日、閑田さんの顔を見ても、何にも言ってなかった。少し驚いた顔をして、ちゃんと冷やしたのかと聞いていただけだ。

『てか、マクセサンに聞いて電話してきたのかと思ったんスけど、違うんスね』

「う、うん……」

『アイツ、なんか言ってたんスか』

「ううん、そうじゃないんだけど……なんでだろう、ごめんなさい、なんとなくそうかもと思っちゃって……」

そう言えば、なんでそう思ったんだろう。
なんとなく、直感でとしか言えない。
言えないんだけれど、それってどれだけ失礼な事か、考えてもみなかった。

『なんとなく、か……それで当たっちゃうんだから、流石みわって感じっスわ』

それからまた、僅かな沈黙。
私……何を聞こうとしていたんだろう。
何故、殴ったのかって?
普段温厚で、でも他人とは一定の距離を保っている涼太が、何故わざわざ殴りに行くなんて事をしたのか。

……馬鹿だ、私。
理由なんて、ひとつしかないじゃないか。




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