第81章 正真
「みわ、もっと言って」
「涼、太……好き」
目が合って、また唇を重ねて。
鎮めようとしていた熱が、一気に温度を上げ始める。
「もっと」
「だい、すき……っ、ん」
離れて、くっついて……しっとりとした唇は、心地よい音で催促して、すぐにまた快感をあたえる器官へと変わってしまう。
「やっぱ、触っていい?」
「え、あ……っ、ん」
露出した肌は火が噴き出しそうなほどに熱い。
大きくて柔らかい手が、丁寧に、探るように胸に触れてくる。
「……はぁっ、っ」
「みわのコト、気になって来たつもりだったんスけど……なんかオレの方が癒されてるっスわ」
「そん、な……」
そんな事、ないのに。
決してそんな事ない。
あんなにも不安な気持ちが胸の奥底に焦げてこびりついていたのに、涼太はまるで重曹みたいに、さらりんと、いとも簡単に浮かせてしまう。
魔法みたいだ。
好きって気持ちは終わりがなくて、どんどんと大きくなっていく。
涼太を通じて見る先は、光に満ち溢れていて。
離れたく、ない。
この、物理的に離れてしまっている状況には慣れたと思っていたのに……会うと、こんなにも我慢が出来なくなってしまう。
ひとことふたことのお喋りと甘いキスの繰り返しに、自制するためのブレーキが徐々に緩んでいく。
だめ、だけどもっと触って欲しい……。
ずっと、触れていたい……。
「あん……ん」
「……あんま可愛い声、出さないでくんないスか」
「だ、だって……涼太が、気持ちいいこと、するから……」
「……みわ、ってば」
「わ、私も、だめだって分かってるけど、でも、なんか、がまん、できなくて……」
「ちょ、ストップ」
頬と胸に触れていた手が即座に離れて、今度は重なって私の口を塞いだ。
一体どうしたのかと涼太に問いかけようとしたけれど、もごもごするだけで言葉としては体をなしていなくて。