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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第81章 正真


以前、涼太と話した事がある。
キスって、すごいよねって。
呼吸をする所を、言葉を発する所を塞ぐっていう……信頼していないと、出来ない事だよねって。

分からないけど、一般的にはもっと気軽なものなのかもしれないけれど、涼太との口付けはそれをすごく実感する。

塞いでる、じゃない……なんていうか、うまく言えないけど、分け合っている、っていうか、そんな感じ……ああ、頭の芯が蕩けていく……。

「……っと、やべ、いい加減にしないと止まんなくなりそうっスわ」

「……?」

唇が離れ、手の甲を口に当てながら言った涼太の言葉の意味が、ぼんやりとした頭ではよく分からなくて。

次の言葉で、ようやく大事な事に気が付いた。

「お腹、しんどくないんスか」

大きな手にお腹を撫でられて、ようやく気がついた。
そうだ私今、生理中だった……。

いつも生理痛が酷いのは、初日。
今日は気分があまり良くないだけだ。

「あ、痛いのは……大丈夫。貧血も、いつもの事だし」

「あんま無理しちゃダメっスよ」

「うん、ありがとう……」

顔が熱い。
体液の温度が上がってしまったかの如く、身体中が火照ったように熱い。

涼太は私の事を心配してくれているのに、当の本人は今の今まで全く気にも留めないでいたなんて。

「やっぱ、来て正解だったっスね。昨日の電話おかしかったから」

その台詞で、涼太は仕事で来たんじゃないって、はっきりと分かった。

電話であんな風になるから、心配して会いに来てくれたんだ。
どうしよう、泣いてしまいそうだ。

「……ごめん、なさい。ちょっと、なんか時期的にちょっと、あんまり体調が良くなかったみたいで」

こんないい加減な説明しか出来ないなんて、遠路はるばる会いに来てくれた涼太に申し訳ない。

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