第81章 正真
お天気予報が終わって番組のコーナーが変わると、今話題のニュースで画面の中が一杯になった。
この精神状態では沢山の情報を処理しきれなくて、テレビは消す事にした。
今日の天気は曇りのち雨で、傘の出番もあるかもしれないと。
涼太の居る関東は晴れのようだ。
またきっと暑い一日になるだろう。
缶の半分ほどを飲んでから、ストレッチを始めた。
身体が凝り固まらないように、ゆっくりと捻って……。
少し経ってから、なんとなくスマートフォンが気になって、手に取った。
すると、先程までなかったはずのメッセージアプリに未読の数字が。
「えっ」
思わずそう漏らしてからアプリを開くと、涼太とのトークルームに未読マークがついている。
うそ、マナーモードは解除していた筈なのに、全く気が付かなかった。
メッセージを開いて時間を確認すると、6時過ぎ……きっと、自販機に行っている時に連絡をくれたんだ。
“昨日は連絡出来なくてゴメン! 起きたら連絡ちょうだい”
ゴメンネ、と可愛いキャラクターが平謝りしているスタンプ付きの彼らしいメッセージに、頬が勝手に緩む。
もう7時近い。
もしかしたらもう朝練に出てしまったかもしれない……なんでスマートフォンを持って出なかったんだろう。
後悔ばかりが胸に広がって、指がうまく動かない。
おはよう、私も寝ちゃってたの……なんて書こうかと迷っていると、突然手中のスマートフォンが歌いながら震え出した。
着信だ。
「っ、もしもし!」
『もしもしー、みわ? 今大丈夫?』
スピーカーの向こう側から聞こえてきた愛しい声に、左手がジンジンと疼いて頬が濡れていくのが分かる。
「おはよう……涼太。ありがとう、今気が付いたの」
『オハヨ。こっちこそごめん、昨日飲んでたら店で寝ちゃったみたいで、紫原っちのトコにお邪魔してたんスよ』
涼太がそんな風に酔っぱらうなんて珍しい。
よほど、紫原さんとの時間が楽しかったんだろう。
「気にしないで。私も昨日、寝ちゃってて」
『……みわ、泣いてた?』
「えっ」
『なんか、鼻声』
「あ、あの、ちょっと寝起きに鼻が詰まってたから、チーンといったらもっと詰まっちゃって」
自分でも訳の分からなすぎる言い訳に笑えてくる。