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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第81章 正真


画面には、携帯電話の番号が表示されている。
番号の上には何も表示されていないから……アドレス帳に登録されているひとではなさそう。

もしかしたら関係者かもしれないし、無視することは出来ない。

警戒心を拭えないまま、そっと応答をタップした。

「はい、神崎です」

意を決して出たのに、向こうからは何の音も聞こえない。

「……もしもし?」

暫く待って、異変に気が付いた。
向こうから音がしないのではなく、そもそもどこかに繋がっているような空気ではない、というか。
もう少し、ザーザーと雑音が聞こえても良さそうなものだけれど……。

そう思い再び画面を見ると、表示されているのは通話画面ではなく、普段見慣れた壁紙が映し出されるだけだった。
どうやら、タッチの差で切れてしまったらしい。

電話のアイコンに1と書かれた赤い丸がついているのを見て、アイコンをタップしようとしたら……また突然スマートフォンは着信を告げ始めた。

「わ、わっ」

言葉通り飛び上がらんばかりに驚いて、画面をロクに見ないまま応答してしまった。

「は、はい神崎、です!」

『もしもし〜、みわちん?』

「えっ、あっ、あれ?」

この少し甘みを含んだ特徴のある声。
そして、私のことをみわちんと呼ぶのはひとりしかいない。

「……紫原、さん?」

『うん〜。今ヘーキ?』

「あっ、はい、大丈夫、です」

思いもよらぬ人からの電話に驚いて、涙も吐き気も引っ込んだ。

『今黄瀬ちんと飲んでるんだけど〜』

「あ、そうなんですね」

意外な組み合わせに驚き……と言っても、確かふたりは中学生時代、同じクラスだった事もあったとか。
どんな感じだったのかな。中学時代のふたり。
噛み合っていないようで噛み合ってるような、不思議なあのふたりの感じ、好きだなぁ。


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