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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第81章 正真


あの日、結局お墓の近くにあったカフェでお茶をして……

「じゃ、みわ、またね」

「うん……また」

車中でのお別れのキスは、額にそっと触れるだけだった。



「そっか……親父さん亡くなってたんかー……それは、ご愁傷様でした、残念だったな。んで、墓参り行って来たんだ」

「そうなんです」

「だーかーら、敬語やめてって」

「う……そう、なの」

怪訝な面持ちのまま、目の前で牛丼を頬張るのは閑田選手。
大阪に来るなり、また食事に行こうと誘われて。

「式はいつにするか決まってんの? インカレ終わってから?」

……?
式?

「式……? ううん、お父さんが亡くなったのはもうずっと前だから、お葬式はもう今はしないよ」

そう返すと、閑田選手は口の中のご飯を吹き出しかけた。

「待ってそれ、天然?」

「天然……? 何かおかしい事、言った?」

「違うっつーの! 結婚式のこと!」

結婚式!?
けっこん!?

「えっ、お、お父さんと!?」

「みわ、アタマ大丈夫!?」

「さ、さっきから難しい事言うのは閑田選手では!?」

閑田選手は、大きなどんぶりを机に叩きつけるように置くと、深い深いため息をついた。

「難しい事なんかいっこも言ってないだろ! 彼氏と墓前で結婚の報告したんじゃないのかよ!」

「!!?」

思いもしない単語に、ご飯粒が気管に入りそうになって、慌てて水を流し込んだ。

「お嬢さんをください、じゃないのかよ」

テレビドラマで見たことがあるような。
リビングで男性が相手のお父さんの前で深々と頭を下げて……。

「ごほ、そ、そういうんじゃないと思うけど……」

「何、こないだから思ってたけど、みわって全然結婚願望とかないわけ?」

「けっこんがんぼう」

結婚、願望。
結婚したいという気持ち。

……誰と誰が?
もしかして私と、涼太が?

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