第27章 海常祭
あの後なんだかんだで、帰るのも結構遅くなってしまった。
家に帰り着いて、軽く洗濯してから寝ようかと洗濯機を回す。
黄瀬くんと火神さんのバスケを見ていて思った事や明日の練習について、洗濯の間に忘れないようにノートに記しておく。
風が強くなってきたのか、窓がガタガタと鳴っている。
「……これ……洗濯物、飛ばされないよね?」
干してみると、激しく左右する洗濯物干しに戸惑うが、折角晴れてるのだから外に干したい。
風がある分早く乾くだろうと、諦めて外に干して寝た。
「……あ……」
翌朝。
暴風のように吹き荒れていた風はすっかり凪いでいた。
洗濯物を取り込んで畳んでいると、1枚足りないことに気づく。
下着が1枚ない。がーん!
やっぱり風で飛ばされちゃったかあ……。
窓を開けて辺りを見てみても、下には落ちてないみたいだし。
可愛くて気に入ってたのにな、あれ。
下着って結構高いのに。
仕方ない、やっぱり昨日くらい風が強い日には、部屋干ししよう……。
というかやっぱり今朝早起きして洗濯するべきだった。
失敗したなあ……。
今日は朝からちょっとついてない。
海常祭2日目は午前中だけなので、2年生のクラスをいくつか回っているうちにあっという間に終了の放送が流れた。
午後は皆でお化け屋敷の解体作業をして、さあ、待ちに待った部活だ。
一般客は午後にはいなくなるはずだけど、折角来たついでに子どもの部活動でも見て帰ろうという親御さんが多く、校内には結構な数の大人がいた。
バスケ部の体育館にも、何人か保護者の方が見学にいらしていたので、麦茶を配る。
そう言えば昨日黒子くんが、うちの親が見に来ているかって聞いていたな。
うちは、お母さんは私のやってる事には無関心だし、絶対に来るわけない。
あの騒動から一度も連絡を取っていなかった。
あの後どうしたのか。どうなったのか。
気にはなっていたが、塞がりつつある傷をまた拡げるのが怖くて、連絡出来ずにいた。
もう、忘れたい。
身体を重ねることだって、黄瀬くんとなら。
きっと、乗り越えられるはず。
……最近、触れ合える機会が皆無なんだけど、飽きちゃったとか、呆れちゃったとか、ないよね……?