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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第81章 正真


「……そっか……おばあちゃんから、電話で……?」

きっと、その話を聞いてこうやって来てくれたに違いない。

「いや、電話じゃなくて、直接」

「えっ」

直接?
つまり……おばあちゃんに、会いに来た、って事だよね。

涼太はいつも予定を私に教えてくれるけれど……ここ最近、ここまで来れる余裕があった日が見当たらない。

また、無理を押して来てくれたんだろうか。

「あ、ゴメンゴメン。心配しなくていいんスよ。聞いたのは……もっとずっと、前……なんスわ」

バツの悪そうな表情で視線を落とす姿は、彼らしくなくて。

ずっと……前。

「どれくらい……?」

「んー、あれは……いつだったか……まだ高校何年かって時」

「えっ」

まさかの言葉に、二度驚いた。
高校生の時?
少なくとも3年以上は前、という事だろうか。

「オレね……そん時、メチャクチャショックで。みわに話した方がいいのか、でもみわが傷付く事はしたくねーって、なんか混乱しまくって、みわのコト犯すみたいにしちゃったんスよね」

少し早口になっているその表情から窺われるのは、後悔だ。
あった。そういう事……あった。
確か涼太が大雨の中、傘も差さずに帰って来て……避妊をせずに、途中までした時だ。

いつだったか、時期は私もはっきりとは覚えてないけれど、涼太の表情は覚えてる。

やり場の無い、というか、解消できない鬱屈を溜め込んでいるような、そんな顔。

あれは、私のせいだったんだ。

「みわ……ごめん。ずっと黙ってて、ごめん」

涼太は、私の手を握って、深々と頭を下げた。

「……顔を上げて」

再び視界に入って来たその表情は、あの時と同じもの。

「涼太……ずっと、嫌な思いをさせて、ごめんなさい」

ずっと、重い荷物を背負いながら、一緒に歩いてくれていたんだ。


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