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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第81章 正真


さっきのおばあちゃんの言葉が、胸の中でずっとぴかぴかしてる。

当たり前、って人それぞれなんだって。
そうだよね。
ひとと違う事をずっと負い目に感じて生きているけれど、皆違って、いいんだよね。

食後の緑茶に口をつけて、ほっと一息ついた。
テレビもつけずに、静かな空間。

「みわ、聞いて欲しいんだけれど」

「……うん」

さっきの、続きだよね。
おばあちゃんは、私がお父さんとしたい事を聞いて、どうしたかったんだろう?

「ばあちゃんはね」

おばあちゃんは、いつもより硬い声でそう言って、少し長めのまばたきをした。

「おばあちゃん……?」

「ばあちゃんはね、みわの父親……みわのお父さんが今どうしてるのか、知っているんだよ」

「え……」

すっと、身体中から血液が抜けて行くような感覚。
おばあちゃんが、お父さんの現状を知ってる?

「みわが成人したら、きちんと話そうと思っていたの。今はバスケットが忙しいみたいだし、気持ちも環境も落ち着いたら、と思ってたんだけれどね」

突然の話に、言葉が出ない。
目が乾く。

「これから、多くはないけれど、ばあちゃんが知ってるだけの事をみわに話すわ。それを聞いて、まだ深く知りたいと思ったら、その時は調査会社に依頼して」

口の中もカラカラだ。
骨が機械仕掛けになってしまったのか、ゆっくり頷くと、首がギシギシと軋んだ。

おばあちゃんの話を聞いて、まだ深く知りたいと思ったら……って、どういう意味なんだろう。

なんか、迂闊には会いに行けない職業なのかな。
それとも、有名人だったりとか……。

貧相な想像を総動員しても、しっくりくる解は得られない。

「分かった……。おばあちゃんのお話を聞いてから、決めるね」

やっとそれだけ、言えた。
おばあちゃんはお茶をひとくち飲むと、真っ直ぐに私を見据えて口を開いた。

「みわ、みわのお父さんはね、もう亡くなっているの」


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