第81章 正真
「みわ、たまにはばあちゃんと一緒に寝ようか」
「えっ……いいの?」
おばあちゃんの部屋で、隣にお布団を敷いて貰って。
並んで横になると、なんだかホッとする。
私って本当にいつまでも、子どもなんだなぁ。
そうだ、言うタイミングを逃してた事、今お話しよう。
「おばあちゃん、あのね」
「うん、どうしたんだい?」
「あの……20歳になったらね、しようと思ってた事があって。お父さんの事……ちゃんとした調査会社に、調べて貰おうと思うの」
一瞬で、場が静まり返った気がした。
気のせい、かな……?
何か、まずい事を言ってしまっただろうか。
「調査会社なんて……お金が……かかるでしょう」
「あ、うん、それは……バイト代から出すから、大丈夫。それにね、赤司さんが紹介して下さるって。金額も少し……融通利かせて貰っちゃうかもしれないんだけれど」
今度は、はっきりと分かるほどに沈黙が広がった。
このタイミングで言ってしまったのがまずかっただろうか。
あんまりおおごとにならないようにと、サラッと伝えようとしたつもりなんだけれど……。
「……おばあ、ちゃん?」
「……明日、ゆっくり話そうかね。今日はもう寝ましょ」
「あ、うん。そうだよね、ごめんね。おやすみなさい」
やっぱりこんな、ついでみたいに言ったのがいけなかったよね。
大切な、話だもん。
お父さんに会えて、お父さんの事を……家族の事を聞けたら……前進出来ると思うんだ。
目を背けている事から。
甘えている事から。
目を閉じたけれど、眠気は訪れない。
心臓がすぐそこにあるみたいに感じる。
緊張……今からするの、早すぎるよ。
涼太に教えて貰った……ゆっくり息を吐いて、またゆっくり吸う。
少しずつ、少しずつ呼吸と意識を深くまで沈めていく。
そうして、ようやく眠りにつく事が出来た。