第80章 進展
「……みわはさあ」
「うん……?」
完全に脱力してしまい、身体は動かせそうにないから、顔だけ彼の方へ向けた。
……なんて優しい目をするんだろう。
普段、皆といる時とは全く違う輝き。
「今回の……恥ずかしかったかもしんないっスけど、ほんとにオレは嬉しかったんスよ」
頬を撫でる手は、慰めるように、労わるように、あやすように。
「みわが気持ち良くなってくれんのが、オレは嬉しい。物覚えは悪いっスけど、みわのイイトコはちゃんと覚えてるつもり」
涼太は、私が怖がらずに出来るようになってから、後ろから挿入する事が増えた。
耳も、弱い背中も愛撫しやすいって……同時に他の所も弄りやすいんだって。
「みわの感じてるカオ見てると、オレも気持ち良くなるんスわ」
僅かに残ったうねりの残滓が、その声に呼応して疼き始める。
まるで調教された獣のように、身体は勝手に準備を始めてしまう。
いつから、こんな風になってしまったんだろう。
こんな事を言ってしまうのは図々しいけれど、まるで涼太が私の身体の一部みたいだ。
常に、完全な状態になれるのを求めているっていうか……。
「何か言いたいコト、あるっスか?」
そんな私の欲まで、涼太は全部分かってるんだろうか。
言いたい事、言いたい事……。
「……もう、お酒飲んだら、こういう事をするのはやめようと思いました……」
「ちょ、なんスかそれ! 聞き捨てならねーんスけど!」
「わっ、ちょっ、くすぐった、わ、あははっ、あーっ、くすぐったいよっ」
「そんなコト言う悪いコは、こちょこちょの刑っス!」
「きゃー!」
自由に動かない身体をイモムシみたいにもぞもぞさせて逃げようとしても、すぐに捕まってまた腋の下をくすぐられる。
まるで小学生のような鬼ごっこをしながら、ふたりで思いっきり笑ってしまった。