第80章 進展
「みわ、もっとお尻上げて」
「も、もっと?」
膝立ちになって、臀部を彼に向けている時点でこれ以上にないくらい恥ずかしいのに……
「もっと。もっと突き出すように……そうそう、いいコっスね」
「んう、ぁ……っ」
予告なく一気に奥まで突き込まれて、息が詰まる。
「もっと上げて」
「あ……あっ」
「全部、丸見えっスよ……みわ。オレね、みわの全部、知ってるから。今更、恥ずかしいコトなんてなーんもないじゃないスか」
「そ、そういう問題じゃな、っあ、っ」
「そーいう問題なんスよ、ほら、可愛い」
交わって、触れられて、身体もこころも熱くなる。
「なんで……こんなに、気持ちいいんスかね」
こころの表面を破って、彼の気持ちが内側まで容易く染み込んでいく。
私も、知りたい。
どうしてこんなに気持ちいいのか。
どうしてこんなに幸せな気持ちになれるのか。
どれだけ触れ合っても、重なり合っても、涼太の熱はなかなか冷めなかった。
涼太に与えられる快感は、波のよう。
大きな波が訪れて去っていったと思ったのに、残った波もうねりとなって、身体中を駆け巡る。
涼太自身が、海みたいに広いひと、だからなのかな。
「はぁ……っ」
最後のうねりが引いていき、やっと訪れた沈黙に、私はベッドへと倒れ込んだ。
「分かってくれたっスか?」
「う」
こちらを覗き込むその瞳の無邪気さは、先程までの妖艶な雰囲気とは全くの別物。
……私に直接伝える、そう言った涼太の愛撫は、今までにないほどの濃厚さだった。
意識までもが呑み込まれてしまいそうになるけれど、たびたび迎える絶頂によって、また覚醒する。
「分かって貰えないなら、もう少し……」
「わっ、分かった! 分かりました!」
流石に生命の危機を感じ、ぶんぶんと首を縦に振ったけれど……正直、涼太はどうしてそんなに可愛い可愛いと言ってくれるのか、分からなくて。
「……あんま分かってるようには見えないっスけど、今日はこの辺で許しておいてあげる」
涼太は、全てを見透かしたような琥珀色の瞳を緩めて、上唇をぺろりと舐めた。