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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第80章 進展


「なにも、そんなに怒らなくてもいいじゃないスか……」

怒ったり泣いたり、まるで子どもみたいだ。
みわがこんな風に感情をさらけ出してくれることって、実はそんなに多くない。

本当なら、普通"家族"に向けられる本音とかワガママとか、そういうのを出せずに来たみわだから、なんだろうか。

とりあえずみわの意見を取り入れて、お湯で流した。
もうこれでご納得頂けたかと思いきや、そうでもないみたいだ。

「……っ、私、上がるね」

俯いて耳まで真っ赤にしたみわは、オレの方をチラリとも見ずに、脱衣所へと出て行こうとする。

「みわ待って、オレひとりにしないで欲しいんスけど!」

追いかけて浴室から出たオレは、タオルで身体を拭おうとする細い腕を、ぎゅっと掴んだ。

みわは、俯いたままだ。

「……涼太、はなして」

「何をそんなに気にしてるんスか? そんなに怒んないで」

女のコの扱いなんて慣れてるハズなのに、こんなに慌ててる自分に、自分で笑えてくる。

みわの涙に弱い。
気持ち良すぎて泣いちゃうのは大歓迎っスけど、そうじゃないのはイヤだ。
泣いて欲しくない。
笑ってて欲しい。

オマエのせいで泣いてんだろーが! と、脳内でまたシバかれた。

「ね、みわ」

みわがこんなにも長い時間怒ってるのって、本当に珍しいから。

「どうし……」

なんとか宥めようと差し出した手に、また大粒の涙が落ちて来た。

……これ、ヤバいか。
相当怒ってるか。
別れ話……なんて、なんないっスよね?

自分でも分かるくらいに手が強張ったけど、一瞬動きを止めたそれを奮い立たせて動かし、細い両肩を痛くならないように掴んだ。

「……みわ」

「ごめんなさい……涼太、あんな、みっともない所、見せて」

「へ」

「嫌いに……なっちゃう、よね」

以前どこかで聞いたようなセリフ。
自分の頭の上にハテナマークが飛びまくるのが分かる。

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