第27章 海常祭
桃っちは、みわっちを連れてオレたちと離れた所に座ってしまった。
「なんか女の子2人、仲良さそうでいいっスね」
「さつきは友達いねーわけじゃねーけど、まあ普段からバスケバカだしな。
共通の話題がある友達が出来て嬉しいんじゃねーの」
「青峰っち、ついてきてあげるなんて優しいんスね」
「テメーだって神崎の膝でデレデレしてんじゃねーか!」
テメー"だって"ねえ。
素直じゃないんスから。
「……こないだ平気だったんかよ」
「ああ、うん。電話、助かったっス。ありがと」
「黄瀬が珍しくオンナに骨抜きにされてるっつーからどんな美女かと思ってたら」
それは……桃っちの情報っスか?
確かにみわっちは、モデル仲間たちとはまた違うけど……。
「どんな美女よりキレーな子っスよ」
「なんかワケありなんじゃねーの」
ワケあり、か。
「うーん……そんな事言ったら、俺も大概ヘンな人間っスからね」
「……ふーん。ま、オレはお前が腑抜けたバスケしないならなんでもいーわ」
そう言うのはホント、青峰っちらしい。
みわっち達の方を見ると、キャアキャアといった感じではなく真剣に何かを話しているようだ。
バスケで繋がった、不思議な縁。
「この後黒子っちたちとメシ行くっスけど、青峰っち達も来る?」
「オレはかえ……いや、さつき次第だな」
「ナイト様は優しいっスねえ」
「殴んぞ」
「殴ってから言わないで欲しいっス!」
桃っちが、笑顔を輝かせて走り寄ってくる。
「大ちゃん、お待たせ! もう帰る?」
「用事は終わったんかよ」
「うん!」
「桃っち、この後黒子っちたちとメシ行くんスけど……」
「ええ! テツ君とご飯行きたかった! でも今日は帰ってやらなきゃならない事ができちゃって」
「そっスか。じゃあまたの機会にでも!」
「うん、またねみわちゃん、きーちゃん!」
桃っちと青峰っちは帰っていった。
あれはあれでいいコンビだ。
……何の用で来たんだろ。
もしかして、招待試合を観に来た?
試合、中止になったの知らなかったんスかね……。