第80章 進展
これ、初めてじゃないけど、物凄く恥ずかしい。
お互いの気持ち良い所を、口で、舌で愛撫する……って、言葉にしたらなんだか簡素だけれど、実際にはそんなに簡単なものじゃない。
だって、だって、口で、って。
とんでもない事をさせてませんか?
「んっう、……あ」
私の気持ちいいポイントを知り尽くされている涼太の愛撫に、堪らず口を離してしまう。
時折涼太も腰を震わせて、……感じてくれてるんだよね。
気持ちいい。
……でも。
でも……違う……の。
そうじゃ、なくて……。
「涼太……」
力が入らなくなる前に、身体を起こして涼太の横に座った。
「どしたんスか……ぷ、なんで正座?」
う、全裸で正座ってもうなんだか色々とおかしすぎる。
「あ、あの、そうじゃないと申しますか……」
「ん?」
「あのね、違うの」
「うん、何が違うんスか?」
まるで親が子どもに問うように。
優しく、ゆっくりと。
これも、皆と居る時には見せない顔。
「みわ?」
「あの」
いざとなると、なんて言ったらいいのか分からない事に気が付いた。
「どしたの?」
「う」
やっぱり、うまく言えそうにない。
行動で表現したら、だめだろうか?
「涼太……あの、引かない、でね」
不思議そうに微笑む涼太に近づいて……そっと、唇を重ねる。
恐る恐る舌を侵入させると、彼も受け入れてくれた。
緊張が先に立って、いつものキスとは違うのが明白。
一旦唇を離して、その滑らかな頬、鍛えられた首筋、くっきり浮き出た鎖骨、厚い胸板、小ぶりな乳首……順に、唇を滑らせていく。
時々、微かにピクリと反応してくれるのは、気持ちがいいから……なのかな。
こんな事をして、ドン引きされないかな。
へたっぴだけど、大丈夫かな。
抱き合って居る時とは異なるドキドキで、唇が震える。
じわじわと不安に支配されそうになっている頭を、大きくあったかい手が労わるように撫でてくれた。